がんは早期に発見して早期に治療するほど完治しやすいと言われます。しかし、実際には体内に大きな腫瘍ができたり、体の異常が起きてからはじめてがんに気づくことが多く、この時にはすでにがん細胞はある程度、成長が進んでいます。しかし、体に変化が起こる前にがん細胞自身が光って自分の位置を知らせてくれれば、もっと早い段階でがんを見つけることが可能です。PET検査は「がん細胞に目印をつけて画像化する」というのが特徴です。

■PET検診のメリット

●早期がんの発見に有効
  従来の検査と比べPET検査では、さらに早期がんの発見が可能です。
   発生 ― 10〜20年 → 育成期 ― 1〜5年 → 増殖期
  0.01o   1o   1cm           3p     5cm以上
              ↑ PET検査による発見が可能
                ↑従来のがん検診による早期発見が可能
   




●痛みや不快感がほとんどない。

数ccの検査薬剤(18F−FDG)を注射するときの痛みだけで、苦痛はほとんどありません。約20〜40分間、
PET装置の検査台に横になって検査します。

●着衣のままで検査できる
検診のときは原則として当院がご用意した検査着で検査を受けていただきます。




■ PET検査の留意点

PET検査では見つけやすいがんと見つけにくいがんが存在します。
注意:PET検査単独ですべてのがんが発見できるわけではないので過信は禁物です。

●PET検査でよくみえるがん
頭頚部がん(舌がん、咽頭がん、喉頭がん、上顎がん、甲状腺がん)
肺がん、乳がん、食道がん、大腸がん、胆嚢がん、膵がん、子宮体がん、
卵巣がん、悪性リンパ腫、悪性黒色腫


●PET検査で見つけにくいがん
PET検査にも不得意なものがいくつかあります
PET検査は成長の早いがん細胞がブドウ糖を多く消費するという性質を利用して、がんの有無を診断する検査ですが
  • 悪性度が低く成長の遅いがん
  • 表面に薄く広がり、固まりをつくらないがん
  • 数oの小さすぎるがん

これらのがんの場合は薬が集まりにくく発見されない場合があります。

PETでよく分からないがんの例
   肺がんの一部(高分化型腺癌、肺胞上皮癌)
   肝臓がんの一部(高分化型肝細胞癌)
   腎臓がん、膀胱がん、スキルス胃癌および食道、胃、大腸、子宮頸部などの表在がん

また、がんをみつけにくくする要因として以下のものがあげられます。
  • 検査に使う薬剤(18F−FDG)が生理的に集積する脳、腎臓、膀胱、尿管などのがんは集まった薬剤によって病変が遮蔽され、がんの発見を難しくします。
  • 偽陽性(がんでないのに薬があつまること)の存在薬剤はがんの病巣だけでなく炎症巣や良性肉芽腫疾患にも集積することがあるためがんとの区別が難しい場合があります。
  • 血糖の高い人 薬剤(18F−FDG)が全身に多く行き渡るため、がん細胞への薬剤の集まりが悪くなります〔実際に糖尿病など血糖の高い人の検査を行うときには、検査時に血糖が下がったことを確認し、体内に投与する薬剤(18F−FDG)の量も増やして検査を行います〕。



重要 したがって、PET検診単独ですべてのがんの有無を評価することはたいへん困難です。
当院ではX線CTやMRI、超音波(US)などの画像診断の検査や腫瘍マーカー(血液検査)などを組み合わせて総合的な診断を行うことで、より精度の高い検診を行っています。



■アルツハイマー認知症の早期発見にも有効

PET検査はがんの発見だけでなく脳のエネルギー代謝や神経細胞活動の状態を調べるのも得意です。脳細胞はブドウ糖をエネルギー源にしていますが、アルツハイマー型認知症になりますと記憶を司るところのブドウ糖の代謝(取り込み)が低下します。この変化をPET検査では比較的早期に発見することができます。




●体幹部の検査が一度にできる
従来のがん検診は、肺、乳房、胃といった特定の部位のみを検査するものでした。PET検査では一度に身体の広い範囲(頚部から骨盤まで)を検査することができます


受診者にとって検査の回数が減ることにより、苦痛やストレスが軽減できます。

 PET検査(保険診療)
PET検査で得られた体の代謝情報と,主に形からみるCTやMRIと組み合わせることで,体の中をより詳しく精査できます。PET検査を加えることで,診断結果が変わることが多く,PET検査の結果を診てから治療方針を決めるのが普通になっています。

■体内に腫瘍が見つかった人がPET検査を受ける場合

体内に見つかった腫瘍が良性か悪性かを判断します。他の画像診断などでは、疑わしい部分が写っていても、それが良性か悪性(がん)なのかが判断できない場合があります。細胞の活動状態をみることが得意なPET検査では、ブドウ糖を多く取り込むかどうかで、良性、悪性の鑑別を行うことができます。

■がんと診断された人がPET検査を受ける場合
・PET検査でがんの進み具合や広がりなどを正確に診断します。
例えば、原発のがんだけでなく、従来の検査では発見が難しかったリンパ節に転移したがんなども見つけることができます。検査後、その結果しだいで治療方法や治療範囲を決めることも多くあります。
・化学療法や放射線治療法などをしている人はその効果判定にも役に立ちます。
受診者(患者)お一人お一人にあわせた最適な治療選択をみつける手助けができます。
・ 治療後は定期的な検査により、再発の有無や早期発見が可能です。


■PET検査は保険適用に制限があります


下記の要件を満たした場合にPET検査で健康保険が適用されています。詳しくはクリニックにお問い合わせください。

てんかん
難治性部分てんかんで外科切除が必要とされる患者に用いる。

虚血性心疾患
虚血性心疾患による心不全患者で,心筋組織のバイアビリティ診断が必要とされる患者に使用する。ただし,通常の心筋血流シンチグラフィで判定困難な場合に限るものとする。

悪性腫瘍(早期胃癌を除く。)
他の検査,画像診断により病期診断,転移・再発の診断が確定できない患者に使用する。


■CT検査やMRI検査などと組み合わせるとより詳しくがんの状態が分かります

CT検査やMRI検査は、体内の組織や細胞の「かたち」を画像でとらえ、周囲臓器との関係を見ることによってその異常を見つけます(形態診断)。これに対しPET検査は、細胞の「活動状態」を画像でとらえる検査方法です(機能診断)。CT検査やMRI検査とPET検査を組み合わせることで、違った種類の情報が加わり、単独の検査だけでは見つかりにくかったがんが、さらに発見しやすくなります。
また、PET検査はCT検査に比較して空間分解能が低く異常が発見されても病気がどこにあるのかはっきり分からない場合があります。そこでCT画像とPET画像を合成(フュージョン)すると、病変部位の解剖学的な「形や大きさ」を正確に把握することができます。

         
●肺がんの場合
+
PET画像 CT画像
合成(フュージョン)画像
●胸部・縦隔リンパ節転移疑い(大腸がん術後)の場合
+
PET画像 CT画像
合成(フュージョン)画像
 PET検査の流れ
受付と問診 検査に対する説明を行います。
注射 ブドウ糖に目印をつけた薬剤(18F-FDG)を体内に注射します。
安静
(約1時間)
しばらく休憩室で安静にして全身に18F-FDGを行き渡らせます。
撮影
(約20〜40分)
 PETカメラで全身の18F-FDGの分布を撮影します。
合計所要時間:約2時間
偽陽性判別のための追加検査を行うことがあります。後日余分な検査を避けるためです。(検査時間がのびますが,追加費用や追加注射はありません)。

 PET検査での被曝について
PET検査では放射性薬剤を投与するため被曝をしますが、その被曝量は胃のX線透視検査(バリウムを飲む検査)の約半分です。その理由として、
  • 薬剤に含まれている放射性核種18Fの半減期(放射線の量が半分に減少するまでの時間)は約110分なので放射線量が時間とともに急速に低下します。
  • 体内に注射した薬剤(18F−FDG)の大部分は尿から排泄されますので翌日にはほとんど体内には残りません。

つまり、PET検査から受ける被曝によってがんなどの放射線障害が起こる可能性はほとんどありません。











PET検査について<検査内容HOME
 PETとは
胸のX線検査 0.3mSv
PET検査 2.2mSv
自然界から受ける年間放射線量 2.4mSv
胃のX線透視検査 4mSv
通常の核医学検査 0.3〜10mSv
放射線に業務する人
(医師、放射線技師、看護師など)の5年間の線量限度
50mSv
がんに対する放射線治療  60,000mSv(局所の治療)
正確な検査のために・・・
前日からの重労働や運動を控えてください。
18F-FDGはエネルギー消費が多い組織に集まります。激しい労働や運動に使われた正常な筋肉にも18F-FDGは集積し、誤診の原因となります。

検査前5時間以上は飲食禁止です。
食事をしてしまうとがん細胞は満腹になってしまい18F―FDGを取り込みにくくなります。
18F-FDG投与後、撮影までは安静にしてください。
たくさん会話すると声帯の筋肉に、手足を強く動かすと手足の筋肉に18F―FDGが取り込まれ診断の妨げとなります。
検査前に排尿
余計な18F−FDGを腎臓から排泄するために、糖分を含まない水やお茶をたくさん飲んで検査前に排尿していただきます。
PETとは
PET検査に使う薬剤について
PET検査の流れ
PET検査での被曝について
PET検診について
PET検査(保険診療)


18F−FDGとは

ほとんどのがん細胞は分裂増殖のために大量のエネルギーが必要となります。そのエネルギー源がブドウ糖です。PET検査ではブドウ糖に良く似た薬剤(FDG)を使用します。このがんに多く集まる薬剤(FDG)に18Fという放射性核種をくっつけます(18F−FDGとなる)。18Fは微量の放射線を放出しますのでPETのカメラで捕らえることができ、体内のがんの位置や広がりなどを教えてくれます。
18F−FDGは毎日クリニック内で生成され、品質試験を行うことにより安全性を確認しています。検査による副作用はありません。ただし、妊娠中もしくは妊娠の可能性があるかたは、原則的に検査をお受けしません。



18
F―FDG( [F-18]-2-fluoro-2-deoxy-D-glucose)の模式図

18Fとは

18Fとはポジトロン(陽電子)を放出する放射性核種です。ポジトロンとは、原子核内に存在しプラス(正)の電荷をもった電子のことです。普通の「電子」はマイナス(負)の電荷を持っています。プラスの電荷を持つポジトロンとマイナスの電荷を持つ電子は、互いに引き寄せあう性質があるため、18Fからポジトロンが放出されるとすぐに近くの電子と結合します。結合の瞬間に、ポジトロンも電子も消滅してしまいます。この時に発生したエネルギーが2本の放射線(γ線)となり必ず正反対の方向に放出されます。PET検査ではこの放射線を「PET装置」で撮影することによって、体内のポジトロンの様子を画像化するのです。
ポジトロン・エミッション・トモグラフィ(Positron Emission Tomography:陽電子放射断層撮影)の略で、細胞の働きからがんを見つけ出す新しい検査方法です。活動の活発ながん細胞は正常な細胞に比べて、3〜8倍のブドウ糖を取り込むという特徴があります。PET検査は18F−FDGというブドウ糖に似た薬剤を体内に注射し、その薬剤(18F−FDG)ががん細胞に多く集まる様子を画像化することで、がんの有無や位置を調べます。

PET装置とPET/CT装置との差は?
PETは単独機器、PET/CTは一台の装置にPETとCTが組み込まれた複合機です。
それぞれに長所と欠点があります。オーディオでいえば、単品組み合わせとシステムコンポの差でしょうか。
PET単独では、PET/CTに比べ被爆が少なくなります。ただしPETでもCT検査を追加すれば同じです。
CTとの合成画像(フュージョン)はPET/CT装置の方が同じベッド上で撮影しますので位置ずれの少ない画像が得られます。
最新のフュージョンソフトウエアを使うとPETとCTを別々の装置で撮影しても診断上問題ありません(例として下図をご参照ください)。
PETとCTは性能のよいものを別々に導入する方が、それぞれを独立させて有効に利用できるメリットもあります。
詳しく知りたい項目をお選び下さい。
■PET検査での被曝の影響

2.2mSvという量では、急性の放射線障害が起こる可能性はいっさいありません。また、将来のがんの発生などを心配されているとすれば、その可能性もほとんど無いといえます。国際放射線防護委員会によれば2.2mSv*の被曝によって10,000人に1人が、将来がんで死亡する可能性があるとされています。これは、どんなに少ない放射線でもがんが発生する可能性があるという仮説に基づいて推定された確率ですが、実際にはこの線量で発がんが確認された例はありません。結論としては、この程度の被曝ではほとんど心配ないということになります。
*一般には放射線被曝はできるだけ少なくするのが原則的な考え方です。しかし、医療の場合には、診療の結果、患者さんが受ける利益が、放射線被曝による害を上回ると医師が判断した場合には、特定の被曝限度を設けなくてよいことになっています。
(日本アイソトープ協会のホームページより)
 PET検診について
 PET検査に使う薬剤(18F−FDG)について